英文マニュアルの良いライティングスタイルとは

Elizabeth Slatkin 著の “How to Write a Manual" という優れたマニュアル制作に関する書籍があります。本書は1991年に出版されて、すでに20年以上経っているのですが、今でも世界中のテクニカルライターに読まれている一冊です。

 

本書はマニュアルの英訳翻訳や和訳翻訳をするにも、非常に有益な情報が書かれています。今回は、本書で紹介している「マニュアルの良いスタイル("What is Good Writing Style")」の章を簡単にまとめみました。

 

 

 

 

 

 

1.Accurate(正確)
マニュアルの内容をできる限り忠実に正確に書くこと。
 
2.Consistent(一貫性)
同じ単語、同じフレーズで書いて、一貫性を保つこと。
以下については、特に注意すること。
■ ページ書式
■ テキスト書式
■ 用語
■ 略語
■ 大文字
■ 句読点
■ 単位
3.Clear(明瞭)
マニュアルがすぐに理解でき、利用可能なこと。
以下の質問を自問して明瞭な文章を書けるかどうか分析する。
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  カテゴリー       | 自己分析
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  計画          | 製品とマニュアルの目的を理解しているか?
              | 読み手が誰なのか理解しているか?
              | そのマニュアルの用途を理解しているか?
ーーーーーーーーーーーーーー+-------------------------
  設計          | ページとテキストのフォーマットを明確にしたか?
              | 計画と設計のアウトラインは明確か?
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  情報          | 言いたいことが何かわかっているか?
              | 資料を理解ているか?
              | アウトラインに基づく、適切な資料を入手したか?
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  言語          | 言語技能(スペル、文法、文構造、句読法、
              | ボキャブラリ、用語の使用法)を習得しているか?
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4.Short and Simple(短くでシンプル)
段落(パラグラフ)、センテンス、単語は短く、シンプルを心がける。
  • 1つの題材に対して、1つの段落
  • 1段落は6~8行で構成
  • 1センテンスあたり、25ワード以内
  • 短い単語を使用
【例】
   abbreviate → shorten
 terminate  → end
    subsequent → next
5.Concise(簡潔)
簡単で要領を得ている文章を心がけること。
特に単語数の多い表現を避けること。
【例
 at this point in time → now
 until such time as → until
 prior to that time → before
 on a weekly basis → weekly
 hold a meeting → meet
 with reference to → about
 the reason why is that → because, due to 
 is equipped with → has, contains
 a larger number of → many
6.Active(能動態)
能動態の文章は、受動態の文章より説得力があり、生き生きとした文章になる。
また、より簡潔で読みやすくなる。
7.Imperative(命令形)
インストラクションでは命令形にすること。
読み手は、簡単に素早く理解できる。
8.Specific and Concreate(詳細で具体的)
より詳細で具体的に書くこと。
【あいまいな文章の例】
In most cases, we feel it is useful to keep in mind that you cy save aa small fortune in heating costs by carefully regulating the controls on your new system.
【詳細で具体的な文章の例】
Your new Hot Air Heating System can save you up to $4.00 each day-- a 40% reduction in the average monthly heating bill in your area.
9.Present(現在形)
時制は、できる限り現在形を使うこと。
10.Parallel(パラレリズム
複数の概念が似通っている場合、パラレル構造にすることで明瞭、簡潔、簡単に理解できるようになる。
【パラレリズムの例】
They studied history, mathematics, and chemistry.
They learned to play tennis, to swim, and to ride a horse.
パラレリズムでない例
They studied about history, mathematics, and how matter is constituted.
They learned to play tennis, swimming, and the art of horseback riding. 
11.Imformal(とっつきにくい文章)
ユーザーマニュアルの場合、会話調のトーンにしてとっつきやい文章にすること。
12.Objective(客観的)
事実、図、データ、結果に基づいて客観的に説明すること。
13.Interesting(興味を引く文章)
読み手のレベルを見極め、興味を引く文章を心がける。
新製品の多くは複雑なテクノロジーを駆使して開発されており、部品、機能、処理速度、オペレーションなどに関して、人間の認知、知覚(見る、触る、聞く)の範囲超えている場合がある。(例えば、「ゲート長20ナノメートル」、「1秒間に実行する命令は5億4000万個」などは、我々が認知できないレベルです。)ヒューマンスケールが知覚できる例を示して説明すると良い。